かつて、育児をする男性を表す「イクメン」という言葉が流行し、ブームに乗って国や行政は男性の育児をPRしました。ケア労働論などが専門の山根純佳さんは、ブームでも変わらなかったものの一つに、子育ての「責任」の偏在を指摘します。
子どもを観察して考えるケアの重責
「イクメン」ブームに乗って、国や行政が男性の育児を後押ししたことは評価できるでしょう。ですが今も、ケアの「しんどい」部分は女性の責任にされたままです。
週のうちの一定時間を子どもと過ごしたとしても、日常的に子どもの様子を観察しながら「生活がうまくまわるように考える」ことまでやっている男性は少ないでしょう。子どもの様子がいつもと違っていたら、話を聞いて、とるべき対策を考える。こうした責任は女性の肩にのしかかっています。
不可視化されるマネジメント負担
相手のニーズにつきあうケア…